EIAJなど、プラスチック製光ファイバー、毎秒400メガで100メートル伝送

 日本電子機械工業会(EIAJ)は二十八日、松下電器産業や三菱電機、日立製作所など十一社と慶応大学と協力して、プラスチック製光ファイバーを利用して高品質の動画や静止画、音声などのデータを毎秒四百メガ(一メガは百万)ビットの速度で百メートル伝送することに成功したと発表した。家庭内のデジタル機器をつなげる「ホームネットワーク」を実現できる技術となる。研究に参加した企業などが年内にも製品化する計画だ。  利用したのはアクリル系の材料で作った「POF(広帯域プラスチック光ファイバー)」。デジタル家電の通 信規格である「IEEE1394」に基づいてデータを伝送した。同規格は、動画などを毎秒四百メガビットの速度で送り込むことができるが、従来の電気ケーブルでは最大で四・五メートルの伝送距離しかなかった。  実証実験は通産省の補助を受け、POFの世界的な権威である慶応大の小池康博教授を中心に実施した。

日経産業新聞
2000/3/29
9面



  EIAJ、高品質の動画など長距離伝送に成功, アクリル系POF利用

 日本電子機械工業会(EIAJ)は、高速シリアル・インターフェースの一つであるIEEE1394上で、広帯域POF(プラスチック光ファイバー)を使って、高品質の動画・静止画・音声・テキストデータの長距離伝送に成功した。これにより、これまで一部の機器に限定されていた家庭内のデジタル機器すべてが接続できるようになったほか、フッ素系に比べ価格が安いアクリル系POFでの高速伝送を可能にした意義は大きく、一般 家庭でのデジタル化の加速に貢献しそうだ。 今回の実証プロジェクトは、通 産省の「住宅分野の情報システム共通基盤整備事業」として、情報処理事業振興協会を経由し、EIAJが受託した九九年度事業の一つ。参加メンバーは慶応義塾大学の小池康博教授らの研究グループを中心に、松下電器産業、三菱電機、日立製作所、三洋電機、日本ビクター、セイコーエプソン、ケンウッド、インフォシティ、テクノスコープ、スカイ・シンク・システム、プロメディアの一大学十一企業。 IEEE1394は、これまでメタルケーブルの最大伝送距離は四・五メートル程度と短く、ホームネットワークへの適用は困難とみられていた。一部では二〇〇メガビット/秒の信号を五十メートル伝送するPOFおよび電気/光コンバーターのサンプル出荷も行われている。しかし、これでは伝送容量 不足で、デジタル放送やホームサーバーでは四〇〇メガビット/秒以上が必要になる。 同プロジェクトは、ファイバーコア材内の屈折率が連続的に変化する性質のGI(グレイデッド・インデックス)型POFと半導体レーザーを活用して、サインカーブによる伝送とし、百メートル以上の伝送が可能なことを実証した。標準タイプのSI(ステップ・インデックス)型POFとGI型の中間に位 置するマルチレイヤー型のPOFと発光ダイオードを使った場合は五十メートルの伝送が可能。 すでに、フッ素系のPOFでは一〇ギガビット/秒の実証に成功しているものの、アクリル系POFに比べ高価。家庭用としては、より使いやすく長距離伝送できる手法が待たれていたが、今回の実証は、家庭内のデジタル機器をすべてPOFでネットワーク化できることを意味しており、さらにギガクラスの高速化につながる可能性もある。こうした成果 を受け、関連各社では年内にも具体的な製品化を進めるものとみられる。

化学工業日報
2000/4/6
9面